福岡地方裁判所 昭和４２年（わ）２３６号 判決 1968年6月05日
会社所在地
福岡県甘木市大字甘木一一四番地
原田乳業株式会社
右代表者代表取締役
原田友祐
本籍
福岡県甘木市大字甘木一、一〇二番地
住所
福岡県甘木市大字一ツ木五八番地
会社役員
原田友祐
大正一三年三月二七日生
右被告人両名に対する旧法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官渡辺正之出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人原田友祐を懲役六月に処する。
被告人原田乳業株式会社を罰金一五〇万円に処する。
但し被告人原田友祐に対し、本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
（罪となるべき事実）
被告人原田乳業株式会社は福岡県甘木市大字甘木一、一一四番地に本店を置き、乳製品の製造ならびに販売を業とするもの、被告人原田友祐は右会社の代表取締役として同会社の営業を統轄しているものであるが、被告人原田は同社の業務に関し法人税を免れようと企て、
第一、昭和三八年三月二九日から同三九年二月二九日までの事業年度における同社の所得金額は、一〇、九〇六、六八〇円でこれに対する法人税額は、三、九九七、三七〇円であつたにもかかわらず、売上の一部を公表帳簿から除外しこれを匿名銀行預金に入金するなどして同社の所得を秘匿し、昭和三九年四月三〇日所轄甘木税務署長に対し、右事業年度の所得金額は、一、六一九、三二二円でこれに対する法人税額は、四九〇、九〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右差額法人税三、五〇六、四七〇円を免れ、
第二、昭和三九年三月一日から同四〇年二月二八日までの事業年度における同社の所得金額は、二四、六一一、四二八円で、これに対する法人税額は、九、一三六、七四〇円であつたにもかかわらず、前同様の方法で同社の所得を秘匿し、昭和四〇年四月三〇日所轄甘木税務署長に対し、右事業年度の所得金額は、二、六八一、八四三円でこれに対する法人税額は八二四、六七〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右差額法人税八、三一二、〇七〇円を免れ
たものである。
（証拠の標目）
一、被告人原田友祐の当公判廷における供述
一、被告人原田友祐の検察官に対する供述調書二通
一、大蔵事務官作成の被告人原田友祐（二通）、島勝利、小西秀明、久保キヨ、古川亀吉（二通）、黒岩堅二郎、山口義包、佐田清（二通）、高木益一、明石一雄、宮原丑雄、真部直、村尾嘉重、高田康平、北村トイ、蒔田良一、石原雅夫、尾瀬悦春、友清慶三、白水隆造、安松博子、吉田静夫、甲斐協一、笠彰、柴田精市、野田良喜、西村光雄、渡辺平雄、西島賰、木村敬一、池田実、竹本和子、岩本日出雄、市来正友、今村キヨ、井口伴七郎、渡辺久枝、山下一徳、樽崎寿美子、中島一善、富沢利親、古川喜八郎、宮原新吾、野村啓助、足立幸男、大隈政弘、稲葉茂美、西村進に対する各質問てん末書
一、被告人原田友祐（一一通）、大石健二、島勝利、古川亀吉、黒岩堅二郎、佐田清、高木益一、明石一男、宮原丑雄、村尾嘉重、尾瀬悦春、中尾勝、野田良喜、西島賰、浅井美智子、羽野昭明、羽野茂人、小川虎五郎、佐藤英夫白水安三、佐賀乳業株式会社代表取締役久米善太郎、寺町和人、城戸檀、小松虎五郎及び富松博子（共同作成）、矢川正人、大部節子、松栄工業株式会社取締役社長芦沢高治、北川藤四郎、大森茂、井本清、市川一男、藤本清幸、竹内保一、株式会社古賀飲料代表者古賀健太郎、西譲、竹内トミ、社団福祉法人小郡学園園長飯田富保、柏木産業有限会社代表取締役柏木辰夫、上坂栄治、大浦博道、山崎善次、合資会社長友飲料工業所代表社員長友健、下川圭治、池田実、張和雄、ジエツトコーヒー株式会社代表取締役大久保仁、小林飲料合資会社代表社員牟田順一、株式会社大牟田ニビシ商店代表者竹下一二、宮崎食品工業株式会社代表取締役宮崎晃一、山本恒治、青柳勝三郎、影下卯三郎、菊水飲料株式会社取締役社長井上一、高場佐、古賀樹三郎、田中修一、佐護幸、丸壜商事株式会社代表取締役大橋英夫、タチバナ醤油醸造有限会社代表取締役橘田諫、井福澄雄、長友利三郎、九州灘琺瑯株式会社代表取締役片山金二、守山高己、山川哲夫、野口義海、野田良喜、湯野豊、荒牧一夫、木村亀鶴、楠管雄、俵淳二、福島モモエ、川添隆助、水俣食品工業株式会社代表取締役水俣留吉、矢崎益雄、国分三夫、古沢一三、岩本日出雄、堀田二男、森部隆輔、有限会社荒川商店代表取締役荒川文男、光永五朱夫、九州新世乳業甘木工場業務取締役近藤八十治、若島正信、松栄豊、主藤孝、小島仁侑、井口伴七郎、富沢利親、百道食品株式会社小石原六平、株式会社滋養化学研究所代表者深浦清之、南日本酪農協同株式会社取締役社長木之下利夫、赤野七造、アミトール株式会社取締役社長坂井末松、内田鉄治、細川益男、星野一夫、日ノ丸金属工業株式会社代表取締役豊嶋幸夫、武末大蔵、富士珈機販売株式会社代表取締役松本正吉、株式会社中部機械製作所取締役社長横山良光、各自作成の各上申書
一、証明書三六通
一、大蔵事務官小出直作成の「脱税額計算書」と題する書面
一、大蔵事務官小出直作成の「原田乳業株式会社の法人税法違反けん疑事件に関する所得計算について」と題する書面
一、大蔵事務官小出直作成の「受取手形（簿外分）分に対する福岡銀行北野支店伝票調査票」と題する書面
一、大蔵事務官小出直作成の告発事件に関する書類の送付についてと題する書面二通（昭和四二年一二月八日付、同年四月一五日付）
一、株式会社福岡相互銀行甘木支店作成の定期積金元帳写
一、株式会社福岡銀行甘木支店作成の一年定期積金元帳写
一、甘木税務署長作成の「原田乳業株式会社の申告、更正、納付状況表の送付について」と題する書面
一、原田乳業株式会社関係書類綴（昭和四二年押第二二一号の一）
一、売掛帳二冊（同号の二、三）
一、請求書控二冊（同号の六）
一、約束手形（筑邦ヨーグルトン）（同号の五）
一、借用証二通（同号の六）
一、売買報告書（同号の七）
一、保護預の有価証券元帳写（同号の八）
一、当座勘定控帳（同号の九）
一、総勘定元帳二冊（同号の一〇、一一）
一、売上帳四冊（同号の一二ないし一四、三九）
一、売上メモ帳（同号の一五）
一、社長メモ帳（同号の一六）
一、賃金台帳二冊（同号の一七、一八）
一、権利証および領収証 一綴（同号の二〇）
一、確定申告書二綴（同号の二一、二二）
一、定期預金名寄せ帳（同号の二三）
一、計算書二通（同号の二四、二五）
一、借用証書（同号の二六）
一、領収証一綴（同号の二七）
一、領収証（同号の二八）
一、領収証二通（同号の二九）
一、借入金証明書六通（同号の三〇ないし三五）
一、約束手形（松栄化学）二通（同号の三六）
一、為替手形二通、約束手形一通（藤川睦幸）（同号の三七）
一、給与領収書（同号の三八）
一、株券二枚（同号の四〇）
（法令の適用）
被告人原田友祐の判示各所為は、昭和四〇年三月三一日法律第三四号附則二条、一九条により改正される以前の法人税法四八条一項に該当するのでいずれも所定刑中懲役刑のみを選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人原田友祐を懲役六月に処するが、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右の刑の執行を猶予することとし、被告人原田乳業株式会社については、代表者である被告人原田友祐が被告人原田乳業株式会社の業務に関し判示各所為をなしたのであるから右法律第三四号附則二条、一九条による改正前の法人税法五一条一項、四八条一項に該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪であるので、同法四八条二項により、各罪所定の罰金の合算額の範囲内において被告人原田乳業株式会社を罰金一五〇万円に処する。
よつて、主文のとおり判決する。
（裁判長裁判官 真庭春夫 裁判官 山口茂一 裁判官和島道代は転任のため署名押印することができない。裁判長裁判官 真庭春夫）